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クルマ・技術
マツダ、環境にやさしい「スリー・ウェット・オン塗装」用塗料の発明で平成23年度全国発明表彰「日本経済団体連合会会長発明賞」を受賞
このたびマツダ株式会社(以下、マツダ)の研究者2名が、平成23年度全国発明表彰において、社団法人発明協会より「日本経済団体連合会会長発明賞」を受賞しました。この賞は、わが国の科学技術の振興、産業経済の発展に大きく貢献している発明の中で、特に優秀と認められるものに贈られます。
「スリー・ウェット・オン塗装」は、「中塗り」「着色ベース」「クリア」の3層をそれぞれ乾燥させないまま塗り重ね、1回の焼き付け乾燥で仕上げる塗装技術で、従来と比べて工場から発生する揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)排出量を45%、CO2排出量を15%削減することができます。
マツダは工場からのVOC排出量を削減するために、「スリー・ウェット・オン塗装」の塗料のベースに、VOC含有量の少ない低溶剤型塗料を採用しました。低溶剤化のために塗料中の溶剤を減らすと粘度が高く塗装に適さないため、塗料樹脂の分子を小さくすることで塗装に最適な粘度に低めました。しかし、粘度の低い低溶剤型塗料を連続して塗装すると、塗料同士が混ざり光沢低下や色の濁りの原因となります。そこで、塗料の界面にバリア層を形成する樹脂を新たに開発し、「中塗り」に添加することで塗装品質を保っています。この新たに開発した塗料により、「中塗り」後の焼き付け乾燥工程を廃止し、「着色ベース」「クリア」の上塗り工程に集約することが可能となり、CO2排出量を大幅に削減しました。
「スリー・ウェット・オン塗装」は、2002年の技術開発以来、マツダの国内外すべての塗装工場に導入されており、マツダでの量産化を機に自動車の塗装方法として広く採用されるようになりました。またマツダでは、水性塗料にも本技術を応用することで、塗装工程におけるVOC排出量をさらに削減する「アクアテック塗装」の開発にも成功し、順次塗装工場への導入を進めています。
授賞式は6月20日(月)、ホテルオークラ東京(東京都港区)において行われる予定で、マツダ以外から以下2名の方が共同研究者として受賞されています。
【ご参考】 ■社団法人 発明協会 ■マツダの環境技術サイト |